就職したら、いずれはリーダーを任されるようになりたい!
仕事に慣れたし、そろそろリーダーを目指したい!
と考えている方もいるのではないでしょうか。
当然組織によってリーダーの基準はさまざまあるため一概には言えませんが、リーダーシップに関する研究は長きにわたって行われてきました。
リーダーシップの定義は研究者によって諸説ありますが、それらをまとめると、リーダーシップとは、リーダーが、集団の目標達成に向けて、フォロワーに対して影響力を及ぼすことと言うことができます。
この要素には3つの次元があり、それらの相乗的な影響によってリーダーシップの効果性が決まります。
そこで本記事では、その3つの次元、①リーダーの立場にある人に備わった個人的特性(パーソナリティやスキル)、②その人の意識的な行動の仕方、③リーダーの置かれた状況 についてご紹介します。
①リーダーの個人的な特性の次元
主に以下の6つが挙げられます。
【安定性】
自律性、落ち着き、自己認知の現実性など
【統率性】
率先垂範性、適正配慮性、判断の的確性、強気、責任感、表現力、傾聴力など
【社交性】
人当たりのよさ、明るさ、オープンさ、気持ち配慮性、面倒見のよさなど
【決断性】
現実性、信念の強さ、決断の速さなど
【思索性】
論理性、思慮深さ、創造性、大局性、柔軟性など
【意欲性】
挑戦性、積極性、粘り強さ、本気さなど
これら6つの要素すべてを満たしている必要はないとされています。
つまり、「自分はリーダーに向いていない」と思っていても、誰もが少なからずリーダーの要素を持っているのではないでしょうか。
また必ずしもこれらの特性と合わなくても、リーダーとして有効と思われる行動を意識して行えば、一定の影響力を発揮できることもあります。
その意識的な行動を次に挙げます。
②リーダーの行動の仕方の次元
リーダーの行動に関する有名な実験では、小学生の3つのグループに工作の課題を与え、それぞれのグループにリーダーとして特定の訓練をした大学生をあてました。
その特定の訓練では、大学生に作業のやり方について、それぞれ「専制的」「民主的」「自由放任的」な言動を身に付けさせています。
その結果、3つのグループの生産性と雰囲気に、次のような差が出たそうです。
【専制的リーダーのグループ】
仕事の量はもっとも多いが、子どもたちの間で敵対的行動、不平不満、依存的行動が多い
【民主的リーダーのグループ】
仕事の量は多くないが独創性が高く、友好的発言が多く、仲間意識や満足度も高い
【自由放任的リーダーのグループ】
仕事の量、質とも良くなく、遊びが多くグループのまとまりがなく、白けている
在職中の方やアルバイト経験のある学生の方は、自分の職場はどのような雰囲気か?リーダーの言動はどれに近いか?などぜひ考えてみてください。
③リーダーの置かれた状況の影響の次元
リーダーの個人的特性や意識的な行動を挙げましたが、一方で、リーダーシップの有効さは「リーダーの置かれている状況による」という理論もあります。
たとえば、リーダーとフォロワーの関係の良し悪し、職場の課業の複雑さの程度、リーダーに与えられた権限の大小などがありますが、ここでは「フォロワーの成熟度」にフォーカスした例を紹介します。
当然フォロワー(同僚や部下)にもさまざまな特性があり、成熟度は異なります。
そこで、フォロワーの成熟度によってどのようなリーダーシップが有効的かをまとめると、以下のようになります。
【成熟度(低)】
教示的リーダーシップが有効(課題志向>人間関係志向)
【成熟度(中低)】
説得的リーダーシップが有効(課題志向&人間関係志向)
【成熟度(中高)】
参加的リーダーシップが有効(課題志向<人間関係志向)
【成熟度(高)】
委任的リーダーシップが有効(課題志向&人間関係志向最小限)
つまり、新卒社員には教示的に、組織にコミットしスキルも申し分ない社員には委任的に対応するなど、フォロワーの現状を見極め、それに応じた対応をとるスキルがリーダーには必要と一ついえるのではないでしょうか。
組織では人間関係の悩みや問題が絶えないことからわかる通り、対応の仕方に100%の正解はありません。
本記事で紹介した次元も、それぞれが複雑に絡み合い、相互に作用し合います。
ですが、現状「リーダーになりたいけど認めてもらえない」「リーダーの役割をうまく果たせない」など悩みを抱えている方は、何か一つでも取り入れてみて、プラスになるかどうかチャレンジしてみてはいかがでしょうか。